日本の医療ツーリズム
日本のみならず多くの先進国では急速に高齢化しており、健康寿命を延ばすことや病気を治療することは大きな課題となっています。
世界に先駆けて超高齢化した日本へ、医療サービスを求めて訪れる外国人は増えてきています。
自国にはない高度な医療サービスを受けることを目的に海外へ訪れることを「医療観光」「医療ツーリズム」と言い、日本は長寿の国で高度な医療サービスを提供しているというイメージがあり、病院やクリニックが清潔でスタッフも親切で安心ということも注目されています。
さらに「医療観光」「医療ツーリズム」では高度な医療サービスを受けることが目的の場合もあれば、お金の節約、時間の節約、を期待されることもあります。
日本では政府が2010年に発表した新成長戦略に「医療ツーリズム」に関して盛り込まれ、2011年に医療ビザが解禁され、コロナ前まで発給数も伸びていました。
短期間の医療目的の訪問者を合わせるとさらに人数は増えるとみられます。
医療滞在ビザ発給統計(e-Stat参照)
2020年 62件(うち 中国441件 ベトナム119件 ロシア11件 大韓民国13件)
2019年 1653件(うち 中国1201件 ベトナム333件 ロシア25件)
2018年 1650件(うち 中国1390件 ベトナム152件)
2017年 1383件(うち 中国1198件 ベトナム61件 ロシア62件)
2016年 1307件(うち 中国1149件 ベトナム31 件ロシア82件)
2015年 946件(うち 中国829件 ロシア69件)
2014年 611件(うち 中国507件 ロシア55件)
2013年 299件(うち 中国168件 ロシア70件)
2012年 188件(うち 中国109件 ロシア38件)
2011年 70件(うち 中国31件 ロシア23件)
特に高齢化や環境汚染のためがんの罹患数や死亡数が増えている中国においては、がん予防の為のPET検診や総合的な健康診断、高度なガンの治療施設が整っている日本へ飛行機で2時間ほどで来ることができるため、医療ツーリズムを希望する方が増えているようです。
日本では事業所で医師による健康診断を実施することを義務付けられており、病気の早期発見や早期治療を目的としていること、細かく丁寧な問診やリスク説明などを行っていることが注目されています。
高齢化した日本でも死因の多くはがんであり(※1)、現在のがん治療は、手術療法・化学療法・放射線療法・免疫療法の4つが主なものであり、その他に新技術や治療法も開発されてきています。
また、医療サービスと一緒に、健康を目的とした温泉や森林浴やサウナの体験を行ったり、地域特産の食材や漢方を取り入れたりする「ヘルスツーリズム」も注目されています。
日本の地域の特産を活かした食や体験を通じたヘルスケアサービスと合わせて、スタッフが親切・安心・安全で高度な医療サービスも同時に受けたいというニーズは今後も高まってくるのではないでしょうか。
(※1 参照:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii09/deth8.html)